ポール・アルテ、平岡敦訳『虎の首』(ハヤカワ・ポケットミステリ)

 

虎の首 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1820)
虎の首 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1820)平岡敦

早川書房 2009-01-09
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 これで今出ているアルテは全部。
 よく考えたらこれ、そもそも、フランス人が書いているのにイギリスが舞台なんですよね。やっぱり本格推理用の事件はイギリスで起こらなくちゃいけないのかしら(笑)。
 それにしても、前々作あたりから、登場人物の恋愛関係がドロドロっていうのがパターンになってきたなあ。まあ邪魔になるほどじゃないけど。しかしどうしてこうもドロドロ必要だと作者は判断したんだろうか。何もよりによって、登場するカップルのほとんどが他のカップルの片割れと恋に落ちなくてもいいようなもんだけど。
 今回も、「トランクの死体」「呪われた武器」「密室」「インドの魔術」なるお膳立てに、ありきたりの恋愛、遺産、連続窃盗などが絡み、とても、今時のミステリにしてはまともなページ数とも思えない凝縮ぶり。
 ツイスト博士には是非ともロンドン空襲を生き延びて(戦時中の話なのです)長生きしてもらいたいもんです。