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 ロバート・ファン・ヒューリック、借りてみたポケミス新刊4冊のうち3冊は昔三省堂から出た初訳(全訳という意味では)の改題新訳。うーんまあ…既存の訳があるものならまた出さんでもと思うが、三省堂版の方はすぐ絶版になってしまって私も10年かかって古書で集めたものだし、この優れた作家のものを初めて知る人も増えるのならやはり喜ばしいことだろう。ポケミスなら結構長いこと流通するだろうし、売れたら文庫化もありかも(今の所厳しそうだが…(笑))
 改題は以下の通り。
 The Chinese Gold Murders『中国黄金殺人事件』→『東方の黄金』
 The Chinese Bell Murders『中国梵鐘殺人事件』→『江南の鐘』
 The Chinese Maze Murders『中国迷宮殺人事件』→『沙蘭の迷宮』
 改題とは言え、旧訳のタイトルの方が原題に近い。改題の方が却って苦労している。
 結局、今回借りた中で新しいのは『紫雲の怪』のみ。
 ちなみに毎回「Murders」なのは、必ず連続殺人事件だから。初めて読んだ時びっくりしたのだが(大学生の時だし)、複数の、全く別の事件が最後に全部繋がるという手法。それまでの私のミステリ歴といえばクリスティーぐらいで、あんまり複雑なプロットは読んだことがなかった(勿論私の知識が浅すぎただけだけど)。しかし本当にこのシリーズの場合、全く別の事件が本当に全く別の事件に見えるから、最後にどびっくりなのである。
 この作者についてもいつか熱く語りたい…
 オランダ人の中国学者、あのライデン大学!卒、本業は駐日オランダ大使!十数ヶ国語を駆使した、恐らくヨーロッパでも有数の中国学者にして天才推理作家、そして挿絵まで自分で書いちゃうという、大変な人。つまりは、中国研究史上の偉大な人物かつ日蘭交流史、そしてあの男関係と、私の興味の多くをたった1人で繋いでしまう奇蹟の男なのだ。
 名前は、このポケミスでは多分原語に近いのだろう「ヒューリック」に統一されているが、三省堂版では「フーリック」、講談社文庫の1冊だけ出てるやつでは「グーリック」という英語読み。あとちくま文庫からも1冊出てますが、あれは何と読んでいたかなあ。
 Wikiの記事。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF