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アイルランドを知れば日本がわかる (角川oneテーマ21 A 101)
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角川グループパブリッシング 2009-06-10
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 何事も単純に比較できないので、この本でもやはり日本とアイルランドの共通点なるものについては無理があるものも含まれています。そもそも私はどの国でも他の国を「姿見」にして理解できるほど甘いもんだと思ってないので、この本の主旨とはいえアイルランドが日本の「姿見」という表現が出てくるたびにイラッとしてたんですが(笑)、著者が駐アイルランド日本大使(!)として見聞した「今のアイルランド」や、日本との意外な関係はとても面白かったです。
 日本で「イギリス人」として知られている明治期の外国人がほとんど「アイルランド人」だったりするのを読むと、植民地支配されていた国とはいかに哀しいことかはわかります。
 お隣の国との関係で日本とアイルランドを比較していますが、日本は植民地支配されたことは戦後の(ry
 そういえば、日本でケルトものの本を読むと、よく「ケルトと日本は似てる」とかいう文章に出会う。この本でも、日本の歴史の古さと、アイルランドにおける先ケルト時代こそ世界最古に近い国家という説を比較していますが…。どうもこの日本の「ケルトに対するマニア的好き方」とか、ヨーロッパにおける「ケルト幻想」(自然回帰を求める風潮における、ケルトへの過剰な傾倒)とかは…もうちょっと考える必要があります。
 細かい点では、どうしても本の主旨に合わせるため無理はあるものの、やっぱり、アイルランドは興味深い国だし、仲良くしたいなあと思いました。今の世の中、これほど、お互いがお互いに対して悪いイメージを持ってない同士って珍しいもんなあ(笑)。それこそ、著者が「もっとアイルランドを知って欲しい」という思いでこの本を書いたように、お互いが実はよく知らないからってのも理由の1つだけど(笑)。これほど狭くなった世界でもまだ偶々遠い日本とアイルランド。偶々貿易であんまし利害関係がなかったり、戦争したことがなかったり(アイルランドからすると大英帝国と喧嘩してくれたという意味では日本に感謝しているらしい)、余りに遠すぎて嫌いになる間もなかった、ということでは。どうかこのままこの関係が続きますように。そしてアイルランドに本当の和平が訪れますように。