片付けと収納の本(4)飯田久恵『「捨てる!」快適生活』(三笠書房知的生き方文庫)

「捨てる!」快適生活―部屋スッキリの法則 (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)
「捨てる!」快適生活―部屋スッキリの法則 (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)飯田 久恵

おすすめ平均
stars初めて腑に落ちた
starsがっかりしました
starsこれは良い本
starsすっごくおすすめ
stars 捨てることで 豊かになる人生と 心。

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 厳選してご紹介したい、という方針は変わっていません。片付けと収納の本で、読んでもはてなダイアリーに記録すらつけていないものもあります。でも、この飯田さんの本はいいから、続けてご紹介しちゃうんですね〜。
 他の本と同じく、「考え方」の本なので、かぶる部分は多いです。図書館がお近くにある方は何を読むか、買う方は何を買うかは、お任せします。
 収納の本にも、「捨てる」ことが大事なことは書かれていますが、この本は特に「捨て方」を中心にしています。つまり、「捨てることが最初」であることと、「まず捨てることで解決することが多い」ことを説明しています。
 私もずっと前に、「捨てる」とついた有名なあの本と、その本に便乗して出ただろうもう1冊を読みましたが、内容は憶えてません。但しこれは私が忘れっぽいだけであって内容がそんなに悪いのかどうかとは無関係です。ただ、他の飯田さんの本と合わせて、この『「捨てる!」〜』は、非常に腑に落ちるものであったのです。説得力ありますね。。
 本当にねえ〜。捨てることが片付けの8割じゃあないでしょうかね。
 「収納家具を買う前に捨てる」は、私も元々実践していたことです。そして、捨てればかなりの問題が解決します。
 更に、捨てることのメリットは、捨てること自体に加え、「捨てる苦労を知ることで、簡単に物を買わなくなる」ということです(これは近藤典子さんも仰ってますね)。私も、要らなくなったジャンルの物を処分するのにオークションに出品する手間、やりとりをして発送する気苦労、古本屋に持って行く大変さ、そして、大した値段にならないとはわかっていても余りの少額さにがっかり、を繰り返し、漸く、買う前に、「ずっと持っていたい物か?」「しまう場所はあるか?」をよく考えるようになりました。生まれて30年以上かかって。(ちなみに、若い頃から「買わない」の天才が、うちの旦那です…)
 納得できる「捨てる」方法満載。収納する前に一番大切な「捨てる」ことを、自分にいかに納得させるか。これは役に立つ本です。
 結局、この飯田さんというのは人の心理をよくよくわかっているから説得力があるんですよね。
 中でも、私が特に「その通り!」と思ったのは、捨てる時は「間引き」でやること、という部分。決して、全部出して要らないものを捨てようとしないこと。
 あー、これ、実家にいた頃は、母が台所の棚から全部出して整理しようとしてるのをよく手伝わされました…。ホント、床を埋め尽くすモノを見てるだけでうんざりするんですよね。ところが、「間引き」とは、要らないものを出してみて、そのために取り出したものはまた元の位置に戻す。意外に普通のやり方ですが、皆さんやらない。そして、床に全部出すと家族を不快にさせ、結局1人で好き勝手しているように思われ心証もよくなく、更に追い詰められるという…そこまで考えますか!配慮が細かすぎます!でもこれぐらいまで周到でないと、思い切った処分と収納はできないのかもしれませんね。

 また、他の本とかぶりますが、収納についても述べられています。
 もう本当に、この人の提唱する「片付けと収納の5ステップ」は、理に適っていてベストだと思います。
 飯田さんの本にいかに納得したかを説明するのに、「小手先のテクニックに惑わされるな」ということを、私も繰り返し書いていますが、本当に、「すぐに崩れる収納は意味がない」のです。
 しかし、今日も、偶々夕方ETVを見ていたら、再放送で収納についてやってましたが…出てきた先生のお名前も存じないし攻撃するつもりはないのですが…ダメですね。全部、「すっきりさせる」ために、見事に、収納指数(出し入れするのに必要なステップ)増やしただけでしたね。
 例えば、自立しにくい雑誌を、ケースに立ててカラーボックスに…これ、確かに、出来上がりはスッキリして見た目もいいですが、さて、じゃあ、記事を読もうとして雑誌を出すのが…メンドクサイ。そしてしまうのはもっと…メンドクサイ。この収納、皆さん一度はやってみて、一瞬のスッキリのためにボックス代を無駄に出費して、元の木阿弥ってやつじゃないでしょうか?本を安定させ、出し入れを楽にしたければ、大きめのブックスタンドを100均で買ってきて差し込めばいいだけじゃん…。ケースに入れて背表紙が隠れてスッキリ?そんなに見た目雑然としてると思うならその雑誌はリビングに置かなきゃいいじゃん?(こういうのも「収納」の考え方です)こういうね、「ケースに入れて」は、ホント、大きな落とし穴ですね。出し入れの手間を増やして、すぐ、テーブルや椅子や床に置きっぱなしになる生活に戻るだけだよ…。もう、いかに世の中、「見た目スッキリ」に惑わされてるかってことね。飯田さんの本で、見た目のスッキリと出し入れのしやすさを兼ね備えた収納を!(同じNHKの番組で、飯田さん呼んだことあるのにねー。まあ所詮TVなんてその場その場だから、矛盾なんて起こり放題ですか〜)
 人間とはいかにめんどくさがりか、いかに自由な時間がいくらでも欲しいかを考えれば、結局、使いたければ収納指数は限りなく0にしろということですね。
 また、いかにもなDIYも紹介してましたが…(お約束ですね。こういうのがないとウケないのかしら)。スノコ買ったりカラーボックスにキャスターつけるより、もっと考えることがあるような。
 ちょっと前に昼のワイドショー番組で見た、「100均グッズで見せる収納作り」とかもね。クリアファイルでトイレットペーパーのストック用のカバーを作るのはいいけど、切った後の残りのクリアファイルはゴミですよね?そんなことするより、買い置きしすぎない習慣とか、要らないものを整理してちゃんと棚にしまったらよ?他にも、「使った材料の残りはまたどっかにしまいこんで、新たな悩みの種になるんでしょ?」という例ばかり!番組作る人ももっと考えなよ、と思いました。
 この『「捨てる!」〜』でも書かれていますが、よくある落とし穴ですね、「手作り」。飯田さんは言います。「じゃあ、その手作りに使った材料の残りはどうするの?」「捨てたくない、という理由だけで手作りするのは無駄が多い」。
 …全く、その通りでございます。
 これは何も、私が手作り大嫌い人間だからではありません。これだけ何でも発達していたら、買った方が確実だったり壊れなかったりするものの方が多いです。悪いのは、要らないものを買ったり、先に収納家具を買ってしまうことであって、必要な物を買うことではないのです。
 個人的には、手作り品ってやっぱり、使っているうちに何か貧しい気分になってくるんですよね。世の中の多くの人は、「手作り」は気持ちを豊かにするのが常識だと思ってるんでしょうけど。でも何も別に手作りだったら料理でもいいし、見た目の悪い物を、いくら廃物利用だからって毎日見て暮したくないですよ。私が手芸がヘタだっていうだけではなく…(勿論、ボタンつけとかちょっとした壊れの修繕は普通にしますよ)。自分が作った物って、意外と飽きるものじゃないでしょうかね。あと、素人がDIYしたものは、絶対に壊れやすいと思います。(TVの、個人宅を訪問してあれこれ作るやつ、あれは先生が付きっ切りで作ってるから長持ちするかもしれないけど、他の人が試してみたらまあ確実に短期間で壊れますわな。物を作るって、甘いもんじゃないですよ。昔からギャグにもあるじゃないですか、お父さんの日曜大工の吊り棚は、すぐに落ちるという…)
 そこで私は遂に言いたい!
 「ちょっと待て そのスッキリは 続かない」(やたらと「ケースに入れてスッキリ♪」は、新たな地獄の始まり)
 「ちょっと待て その手作りは 嫌になる」(売れるほど出来のいいものでない限り、手作り品は新たなゴミ)
 「手作り収納グッズ」…危険な言葉です。どうしても何か作りたい方は、そもそも、その材料でさえゴミ候補、新たな場所塞ぎ候補であることを、買う前によく考えて。結局何だって、「する前によく考えろ」ってこと。
 手作りが全部悪いというんじゃないですよ。ただ、ここに棚が欲しいなとか思えば、プロに頼んだっていいわけだし。確実にステップを上がるには、必要なお金はかけるべきというのも飯田さんの考え方。大規模修繕、追加なども含めて、よくよく事前にトータルで考えて計画してやりなさいよということ。簡単に買えるからといってカラーボックスやら100均グッズやらの「モノ」を増やしなさるな。
 TVでよくやる「収納DIY」は、作る行為の前後に対して非常に無責任だということですね。ま、TVの無責任さっていうのは元々そういうものだけど。
 DIY、手芸好きな方には鼻で笑われるでしょうが、正直、手作り品を見ているとイライラするというか、オサレなインテリア本の見本写真なんかの、「手作り品で統一したリビング」とか見るとゾッとします。また、「隠して生活感のないカフェ風キッチンを」とか言いつつ、手作りのカバーかけまくって生活感溢れててキモいダイニングキッチンとかね。同じようなお気持ちの方、「おかしい」という気持ちに正直な方も、最近は多いと信じたいです。
 そういうわけで、無理して何か作る必要もないし、変な工夫はするだけ体力と金の無駄。素直に考えて、素直に捨てて、素直に使用頻度に合わせて収納しましょう。崩れない収納の出来上がりです。