バナナフィッシュを3時間弱で―Axle公演BANANA FISH

 アクサル公演「BANANA FISH」観てきました。
 http://www.blue-shuttle.com/banana.html
 産休からの、新国立劇場への「復帰」です。(1つずつ、以前よく行っていた劇場に「復帰」しているわけで、残りは来月の日生劇場で、大きな所は完了です)
 さて、何がどうって、全部やりましたよこの公演(笑)
 あんな長い話、絶対どっか適当な所でまとめると思ったら全部やりましたよこの劇団!(笑)
 休憩ありで(休憩あるほど長い舞台なんて産後初めてっす。小劇場ばっかりだったんで)、ちょっと押して3時間ぐらいですかね。
 勿論忠実にやったら1日はかかるわけで、相当整理してスピーディーにはしてましたが、二、三の重要な台詞がカットされていたことを除けば、縮め方は悪くなかったと思います。本当にストーリーを追いかける感じで、勿論、原作のもつ繊細さや深みまでは再現しろという方が無理です。しかし、根本的な部分―アッシュと英二の友情、アッシュの強さの理由と激しい潔さのようなものは表現できていた…としましょう。
 どうスピーディーにしたかと言えば、具体的には、刑事2人を完全にギャグパートにし(これはこれで異論アリでしょうが…)多くを2人の台詞で説明させ、あとこれは凄く上手く組まれていたのですが、舞台上で2組のやり取りが同時進行するというやり方を多用して、物理的に時間を短縮すると共に、原作で横並びにしか描けない時系列を縦割りにしてストーリーを伝わりやすくしている。つまり、舞台の基本ではありますが、時間と空間を上手く使っていました。
 あとは、原作の持つ、とはいえ少女漫画なのでかなりソフトにはしてありますが、まあそういう部分、それは大分薄めてあってというか相当消えてましたが(笑)、紹介されないことはないという感じで。勿論、ゴルツィネと英二と月龍がさんぴ(ry未遂なんてぇ場面は変えてありましたぜ(笑)
 まあね。現実の人間がやるものなんで、キャラのあの奇跡的なまでの濃さはないですが、頑張ってはいました。所詮アッシュは伝説で現実の人ではないんです(笑)。あと私は想像力がド貧困なんで、白人の美形ってのがどんなもんなのか、実在の人物の顔としても想像がつきませんし。
 あとはもう挙げればきりがないですが、予想以上に、ちゃんとバナナフィッシュだったちゃんとアッシュだったちゃんとニューヨークだった。
 アッシュ、ロボ、合格。この舞台版では極力表現が抑えられていたあらーん((c)SGA851様)な場面のうち唯一ちょっとだけ描かれたマーヴィンとの場面での、「2人っきりになれるとこない?」の時の声にはちょっとゾクッときた。ロボ、こういう役をやらせると似合うアクサルのリーダー。
 月龍、やや別ものではあったが小柄な体格で原作よりもっと中性的。終始、男性が細いヒールのサンダルで普通以上に動き回っていたということだけで凄い。原作では彼のチャイナ服ファッション&髪型もちょっと見所だったので、彼だけは衣装替えがあったらもっとよかったなー(贅沢)
 英二。気づかずに行ったのだが「冒険者たち」のガクシャからまだ1ヶ月立っていないでまた生で観た宮下君。ちょっと英二にしては可愛すぎたかもしれない。原作の英二は真面目ではあるがキュートではない。でもまあいいとしよう。
 オーサー。前回「11人いる!」ではタダトスだった加藤さん。ええっ何で彼!?と思いましたが、原作ほどオッサンではないオーサーというところでした。でも、アッシュが初めて彼をファーストネームで呼ぶシーンがカットされてたのは残念だったなー。
 ブランカ。これは完全にブランカ。一番原作に近かった。ブランカの精神がちゃんと表現されていた。後半、このブランカとアッシュのやりとりはホント、ゾクゾクしました。
 フォックス大佐。ええ!この人がフォックスだったの!と、ずーっとゴルツィネの傍でギャグやってたタイソン大屋さんが(公式サイト見たのによく憶えてなかった(^^;))豹変した、あの大詰めが良かった。
 シン・スウ・リン。まあこれは小野くんのためにあるような役でした。
 刑事2名、李王龍&李華龍&マナーハイム博士(三役)、別ものなので何も言わない(笑)
 マーヴィンその他、大阪公演では走り回る演技の後過呼吸になっても頑張った斎藤さん(笑)。随分とキュートなマーヴィンでありました。前回は売店でくじ引き写真でお世話になりました。これからも頑張って下さい。
 プログラムの写真はこのところ毎回耽美っぽいですが、この劇団、実際の舞台は非常に骨っぽいです。「男性のみで」「漫画原作を中心に」なんて聞くと、まあ変な想像をしそうというか変な期待を勝手に掻き立てるという責任はあちらにもあると思いますが(笑)、実際には、まず劇団ひ〇わりですから演技力は1人1人しっかりしている、そして演出は男っぽい。とても男っぽい。前回の『11人いる!』がとてもよかった(DVD買いました)ので、今回はお目当ての客演がいないにも拘らずチケットを取りましたが取ってよかった。それに、前回も今回も、原作が少女漫画なのに男女両方に支持されているのと同様、舞台も、男性が観ても恥ずかしくないものだったと思います。
 そうそう、キャパがでかくなるだけでこんなに客層変わるんかというぐらい(前回は…。)、年齢層が結構広かったです。若いお姉ちゃんばっかりかと思ったら、年配の女性あり、若い男性あり。
 あと、私はチケット持って行ったんですが、「雑誌媒体」っていう列は何だったんでしょう?ハガキを持って並んでましたが…何かで募集したのかな?それに、「専門学校」っていう受付。学校で募集したりしたのかしら。とにかくキャパ1,000越えですからもう色々だったようです。それでも、恒例の、「最前列センター数席空席」はありましたが。
 そうそう、今回、ここ2、3年で一番いい席でした。この新国立劇場の中劇場は初めてだったんですが、前の方はすり鉢状になっていて、そのベストな高さのど真ん中というベスト席。
 でもって、観客をいじる演出があって、DVDの収録も入ってたんで、私DVDに写ってます多分バッチリ。ああ恥ずかしい。
 終演後には、今回全公演で何らかのイベントがありまして、今回はアクサルチームvsストリートキッズチームの「稽古中の爆笑ネタ対決&負けた方は生で罰ゲーム」でした。宮下君がほぼ持って行ってストリートキッズチームの勝ちでしたが、アッシュ柄谷さんの指鉄砲話(ゲネプロで銃を持ち忘れて指鉄砲でやった)にも爆笑だったので、個人的には引き分け。
 ↓良かったこの公演。DVDは今から観ます。特典映像満載らしい。
Blue Shuttle Produce Axle 11人いる! [DVD]
柄谷吾史, 大河元気, 田中照人, 古川貴生
B001NKGR30

 余談。久々に新国立劇場行ったら、「大劇場」が「オペラハウス」になってた。そういえば、昨日は隣の東京オペラシティで飯食ってから地上を歩いて行ったんですが、その大劇場現オペラパレスなるもののホワイエ(休憩したりワイン飲んだりするロビー)の外側の壁に「Opera Palace Tokyo」って文字が取り付けてあった。確かこんなの前なかったよなあ。いずれにせよ、公共の大ハコによくある、形から入る演出ですな(一般募集した「愛称」だそうですが、もう館内の表示も「オペラパレス」になってるし)。この大劇場現オペラパレスも、演劇関係者から見て必ずしも使いやすい設備ではないという話も聴きますしね。あくまで噂ですが。妹尾河童さんも仰ってましたが、劇場って、実際に使う人の意見を取り入れて作られることってまずないそうです。