西太后印の美顔ローラー〜加藤徹『西太后』(やわらか編1)

 昨日は寝不足でフラフラしてたもんで(相方の帰宅が遅かったもんで)もう何書いたんだか(ちょっと加筆しました)。
 本の中身の話はさんざんしたので、さー、今日も眠いし(相方の鼾で)くだらない話いってみよう!!
 (あんまりくだらない話だから「おでかけ日記」にしたよ…)
 ええ、今、真冬の紫禁城やら頤和園やらがワタクシの脳裏に甦っております。青い空、黄色い屋根、美しい湖、極彩色の長廊…
 はぁ〜…
 あ、戻って来い?失礼しました。(当時デジカメでなかったので写真をお見せできないのが残念です)
 話は本書の「あとがき」に戻ります。
 巷には「西太后が好んだナントカ」「西太后印のナントカ」が溢れているそうです。則天武后呂后は時代が古いことを差し引いても、やはり彼女のような”人気”はないそうです。でも、古くたって、「楊貴妃のナントカ」なら西太后よりあるだろうけどね(笑)
 そのグッズの一つに、「玉棍子(ユイーグンズ)」という、「ローラー状に加工した玉(ぎょく)を顔の皮膚に押しつけて転がす美容用品」があるそうで。で、偶々私も、北京で買いました、「慈禧牌(西太后印)の美顔ローラー」。
 北京で必ず連れて行かれる免税店を抜けて、中庭に出たら露天がたくさん並んでいて、その一つで買いました。私の手の長さよりも短い、本当にミニサイズのローラーです。
高野「おー、つーしーつーしー(あ、西太后印だv)」
店員「とぅいつとぅい、つーしーつーしー(そうよ、西太后よ〜)」
「慈禧(ツーシー)」とは、日本では「西太后(せいたいこう、というのが正しい読み方だそうです)」と通称される彼女の、中国での略称。彼女の徽号(皇太后としての称号プラス、生きている頃から祝賀のたびに2文字ずつ増えた)は、最終的には25文字!!になったそうで、本書にもあります。『清史稿』なんか見ると書いてあります。
 私は現地でこれ以外「西太后印」は見かけませんでしたけど、他にもあるんでしょうね。
 このローラーも、結構有名なお土産なのかもしれませんね。数百円だったし。母にも「こういうのをもっと買ってくればいいのに!!」と言われました(笑)皆様も北京へお出かけの際は是非(笑)
 さて、使い心地ですが…
 結構キモチイイ(笑)
 ツボを刺激するものだそうで、確かに、転がすとちょっとイイ。薄緑色の石でできていて、ひんやりします。
 箱の内側には、
「中国では、玉と人体の健康には密接な関係があるとされており、資料によると、西太后は生涯玉の枕を使い、玉製の顔按摩器(こういうローラーのこと)を美容と顔面のツボを刺激するために使い、末梢神経を興奮させ、血液の循環を促し、老化を防ぎ、肌を美しく保った。毎日バンバン使っても壊れません、効果絶大」
と書いてあるので、まあ、あやかり商品ですね。普通にこういうグッズもあるのかもしれないけど、「西太后印」とつけた方が売れるのでしょう。
 淡谷Nり子のGルマニウムローラーではないので(笑)シミが取れたりはしませんが、多分、内側から外へ、下から上へ、というマッサージの原則を守ってコロコロやってればよさそう。手でマッサージするより疲れないのと、あとは気分の問題ですね。
 とにかく西太后の場合、「彼女の好んだ」がつくと売れちゃうんだから、女性なんてそんなもん。相手がどんな人かより自分の美容。
 はっきりいうと、彼女、美人じゃあありません。晩年の写真を見て若い頃を想像しても、まあ、普通です。でも、家柄と才能で后妃を選ぶ清朝のシステムでは後宮には不美人が多く(と本書にある!)、その中では確かにきれいな部類に入るでしょう。詳しくは後述。
 それが、庶民からすればやはり、「皇帝が寵愛したお妃ならきれいに違いない」「きっといつもきれいにしているに違いない」になるわけですね。(ちなみに今の日本の皇室では、競争になってしまうので、好きなTV番組は仰らないし、お使いの化粧品メーカーも秘密です。知りたいわ〜)
 まあ確かに、晩年の写真を見ても、かなりシワがない方ですね(え?あの髪型で引っ張っているからだ?)。享年74歳で、写真が残っているのは60代の頃なのですが、あの時代の60代としては相当張りがある。シワにならない骨格の、山田風太郎言うところの「水美人」と「骨美人」の、「骨美人」なんでしょうか。まあ、確かに庶民と違って過酷な条件で働いたりしないだろうけど、ストレスは多い仕事だから、お手入れやお化粧には気を使っていたのかも。
 (ちなみに、映画で彼女を演じた劉暁慶はムチャクチャきれいでしたな〜。この方、ドラマ「武則天」(BSで「則天武后」として放映)でも主役だったから、悪女?制覇!(笑))

 美容といえば食べ物でございます。「あとがき」にも彼女が好んだというプリンのようなものが出てくるし、満漢全席を再現するというNHKスペシャルでも、彼女が好んだという「西施乳」が紹介されていました。
 番組では別のお乳でしたが、実際にはこれ、人間の女性の母乳だったとか…そういえば、映画「続西太后」でも、直接おっぱいを吸っているシーンがあったなぁ。これは猟奇的な側面を強調したかったんだろうけど、実際は器に入れて…にしたって、大人が飲んで美味いもんじゃないだろー(^^;)栄養は満点だけど。それに西施だったらお乳よりも直接吸うこと自体の方が(以下自粛)。
 あとは漢方薬入りお煎餅とか、西安に逃げる時に貧しい農民の家で出されたとうもろこしの粉の蒸し物がいたく気に入り、それを紫禁城に戻って再現させたものだという「小窩頭(シャオウォートウ)」というお菓子も「あとがき」紹介されていました。元々は素朴というよりはっきりいえばおいしくはないもの(うちにももらいものがありますが(トルティーヤ用)、不味い)ですが、それをそのまま食べさせるわけにもいかないので、料理人はお砂糖と混ぜて指の先ほどに固めたお菓子にしたのだそうです。素朴な落雁のようなものでしょうか。
 空腹で食べたからというのもありましょうが、彼女は結構こうしたシンプルな味が好みのようで、昔読んだ本には、花巻(ホワチェン。先日作りましたが、フツーの蒸しパン)とか、シナモン味のパイみたいなものとかが好きだったとありました。まあこのへんも、どこまでが伝説なのかわかりませんが。
 前述のNスペでは、彼女が好んだという「アヒルの舌」の炒め物だったかスープだかが出てました。舌といえば、当然1羽のアヒルに1つしかありません。それが大量に…ぜーたくです。
 煮込みもの、コラーゲン系は中国料理がモロに得意そうだもんな〜。乾物の扱いでは中国料理は世界一と言われます。出汁を取るもの材料には栄養が凝縮されているし、フカヒレなんかモロにコラーゲンだし(鮑とフカヒレの干物は日本からの重要輸出品だった)。コラーゲンというのは、すね肉なんかでご存じでしょうが、煮ると固くなり、更に煮ると柔らかくなります。番組によれば、そもそも中国においては森林伐採で太い薪が庶民には手に入らず、従って、小枝を燃やして炒める料理が主で、「煮込める」ということそのものがステイタスだったので、必然的に「煮込み料理」に高級なものが多いのだそうです。熊の掌とか。中華街に行くとショーウィンドウに飾ってあるらしい「鹿のアキレス腱」なんてのも…
 今は日本でも、寒天とかゼリーのコラーゲンとかが騒がれてますが…
 2に続く(馬鹿話はよく続くな)